[コメント] 俺たちに明日はない(1967/米)
邦題がすばらしい。ストーリーが進むにつれて、ボニーとクライド一味とそれを取り巻く世間の間のゆがみが大きくなっていく。彼らがゆがんでいるのか、それとも世間がゆがんでいるのか。
やってることは極悪非道なのになぜか憎めないボニーとクライド。子供の悪戯を見ているような気分でいたら殺人、強盗、行く先々で車を奪っての逃避行。お兄さん夫婦もいい味出してる(ジーン・ハックマン若い!)。
この時代の時代背景を知っているとより一層考えさせられるところがあることに気づく。底のない不景気とか、メディアがそれほど発達していなかったとか。もちろん何にも知らないでこの映画を観てもそれなりに楽しめると思うけど。この時代だったから彼らがある意味ではヒーローになった。手当たり次第人を殺すわけじゃない。人間的には自分の気持ちに正直で、ヘンな小細工をしたりするような人たちじゃない。どちらかというと、友達になりたいタイプの陽気な奴等だ。
ただ、そんなヒーローは社会にとっては迷惑だ。ボニーとクライドは、ああなる運命だったんだ。そしてそれを彼ら自身も知っていたと思う。そういう意味では、この作品の主人公は『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の主人公たちとは一線を画す。ボニーとクライドがどんなことをしたとしても『ナチュラル・ボーン・キラーズ』に比べればどこか牧歌的であり、古きよき時代といえるだろう。
ボニーとクライドは並んで葬られたのだろうか・・・
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