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[コメント] バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985/米)

ロックの源流、"Johnny B. Good"を産み出したのは、はたして誰か?(レビューは作品後半部分の展開に言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…それもヤボなつっこみなのかもしれないが、斬新なアイディアというのはどこか神のようなものからの啓示に似ている、ということを示唆しているように感じた。その「啓示」を与えたのが「未来」から来たヴァン・ヘイレン好きの少年だったというのは、これもブラックジョークなのだろう。

子どもの頃に見た数少ない作品の一つ。当時、細かい設定はほとんどわからなかったのに、夢中になって見ていた。当時なら文句無く5点だろう。

大人になって改めて観ると、ブラックジョーク満載の作品だったことに気づく。リビア人テロリストというのも、筋を展開させるために実際にステレオタイプな形で登場させてしまったから倫理的にひっかっかってしまうが、画面に登場させなかったらあの原発の衣装と同様、ブラックジョークとしてクスリと笑ってしまえる範囲だったのだと思う。年をとって、ニヤリとさせられる場面が増えた。

現在の文脈に置き直してみると、『アメリカン・ビューティー』のようなアメリカ中産階級の家族の群像を追った作品でもあった。未来から戻ってきたら妙に家族が「成功者」として描かれているあたり、今観ると大味で食い足りないが、最初のダメな家族の描き方あたりには好感をいだいた。(だからむしろ戻れただけで幸せなのであって、家族はダメなままでいいじゃん、だから愛すべき存在なのでは?と思ってしまう)

ドクは好き。30年後の未来から来た少年の存在、皆に理解してもらえないエイリアンの状況を、唯一理解したのが彼であった。良識的な教師から危険人物扱いされる孤高の存在、ドク。孤高ゆえに、皆が考えもしないことを考える彼ゆえに、少年を理解することができた。本作を通して、実は彼らの友情の発生を目撃していたのではないだろうか。むろん、プルトニウムを騙して手に入れたり、肝心なところでドジなところなどが一番好きなのだが。

ただ、それと同時に今に連なる大味な、いわゆるハリウッドアクション映画の系譜に連なる作品でもある。せっかくヒューイ・ルイス・アンド・ザ・ニュースの曲などで小気味よくしめられているはずの音楽に、煽りのオーケストレーションが入ってくるのは少し興醒め。家族の群像劇、少年の成長を描いた作品として観ていた私にとって、アクション・シーンも過剰に感じた。ただ、アクション・シーンの起こるきっかけが、プルトニウム拝借であったり、肝心な時に配線が木に引っ掛かって抜けたりなどと、おマヌケだったあたりで、まあいいかという気にはなる。

全体的にはやはりよくできた作品。脚本の勝利。シネスケ人気作品ナンバー1というのもうなずける。(★3.5)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ロボトミー けにろん[*]

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