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[コメント] 小犬を連れた貴婦人(1960/露)

短い原作に作者の創意で幾つも肉付けされているのだがこれがいい。窓辺のクラリネット吹きの件など抜群に素晴らしく、諦念と希望を一度に描写して心に沁みる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フロイトの「文化への不満」を補助線に引けば、トランプだろうが不倫だろうが行き着く先は同じ退屈しのぎだ。それを判らない男女を描いたのがチェーホフ、判ってしまった男女を描いたのがベケットの戯曲、ということになる。

しかしラストの窓越しの議論は、他に何があるだろう、これこそ人生だ。もしかしたら、上記のシニカルを吹き飛ばすような結論を導き出すかも知れないではないか。ここにチェーホフは人間の美しさと可能性を見たのだと思うし、映画の作者もこれに賛同している。この不倫からの抜け道を真面目に語り合うラストは、とても力がある。

(評価:★4)

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