[コメント] 人間の運命(1959/露)
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「もう貴方とはこの世では会えないのね」と泣かれた奧さんを突き飛ばしてしまう。これをセルゲイ・ボンダルチュクは「死ぬまで後悔し続けるだろう」と告白する。死んだのは彼ではなく奧さんだったのだ。 ソ連兵のナチへの捕虜もの。バターン死の行進並のひどさが描かれる。共産党員とユダヤ人の即刻の銃殺と、逃亡したら猟犬に捕まり、それからドイツを転々とさせられる。石切り場で疲弊した同僚を見張り兵が有無をいわさず突き落とす件が怖い。黒煙噴き上げるガス室への大量の行進も怖い。
以外なのはキリスト教に同情的なことで、こういうのは雪解け後ということなんだろうか。教会に幽閉されて、外へ出れば銃殺されるのに、俺はキリスト教徒だ教会を汚せない、と門を出ようとして殺される件(トイレぐらいいいじゃないか、やはり偏執的だなと云っているのかもしれない)。欠点は孤児を自分の児と偽って引き取るラストで弱く、印象散漫になった。原作ではもっと周到なのだろう。
映像美術はなぜかタルコフスキーを想起させる。湖とか、湖から伸びる樹に咲く花とか、湧水とか教会とか。捕まる際のトラックでの突撃のアクションはいいものだった。平原がともかく広いのがロシア(ソ連)映画らしくていい。
なお、第二次大戦の死者(軍人・民間合わせて)、ソ連は2060万人、ドイツは689万人(中国1321万人、ポーランド603万人、日本310万人)。規模だけで云えば東部戦線は最大だった。ナチス憎しのロシア人の感情は大きなものがあるだろう。それは戦後のソ連の蛮行で帳消しになった訳じゃない。不幸は折り重なる。
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