[コメント] 眠狂四郎勝負(1964/日)
三隅研次を惚れ直す。本シリーズでの位置づけで云えば焦点の定まらなかった一作目(前作)を見事に立て直した二作目ということになるのだろうが、そんなことに収まらない傑作だ。市川雷蔵のストイックな魅力が際立つのは脇を固めるキャラクターの豊かさに拠っているところも大きい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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例えば加藤嘉がいなければこの映画がどれほどつまらなくなっていたことか。或いは高田美和の無垢な可愛らしさがどれほどこの映画に貢献していることか。また、悪役造型も通り一遍じゃない。狂四郎からブタ姫と呼ばれる久保菜穂子−高姫。その真っ白い手。得たいの知れない占い師、藤村志保。そして特筆すべきは須賀不二男が演じる白鳥主膳という慇懃無礼なキャラクターだ。わざと猫背で演じられているのだが何とも云えない嫌らしさが良く出ている。また、ラスト近くでワンシーンだけ登場する柳生但馬守役、浅野進治郎の扱いも堂々たる演出。中盤は五人の剣客のシーン等すっきりしない部分もあるのだが、この柳生但馬のシーンのようなワンポイントでも突出した魅力を放つシーンを持ってこれらる力というのが当時の三隅、当時の大映のポテンシャルだったのだと痛感する。
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