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[コメント] Love Letter(1995/日)

30周年4Kリマスターで30年ぶりに観た。当時のパンフレットも持っている。色褪せない名作だと思った。完璧だなと。というより、完璧に思わせるのがうまいんだなと。
なつめ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大人になった今はイライラといけ好かなさも同時に感じるんだけど、それをうまくくるんで差し出しているなあという感心。細かいこたぁ目を瞑るかって思ってしまうところがある。

たとえば藤井樹(男性)は渡辺博子のことを本当に好きだったのか問題。この映画の中では、不在の藤井樹(男性)は明らかに藤井樹(女性)への恋心があったと確認されるが、渡辺博子へのそれは何も表現されなかった。

渡辺博子と藤井樹(女性)の内面・性格にはだいぶ違いがある。初対面でいきなり交際を申し込んだというエピソードから、まずは顔だったんだろうというのは間違いないと思う。

トヨエツに求婚されつつ煮えきらない渡辺博子。ここでは一番手で、二番手であるトヨエツのことが好きだった女性の存在もある。彼女を登場させたことにより、藤井樹(男性)に対しては渡辺博子が二番手だったのかもしれないという印象がまた上がった。

主人公感のある藤井樹という名前と、それと比べたら平凡に思える渡辺博子という名前の設定。

図書カードの裏に描かれた藤井樹(女性)、それを最後の手紙で匂わせつつ言わないところにマウントを感じて面白い。まったく触れずに終わらせることもできたはず。

藤井樹(男性)が亡くなったからこそ、渡辺博子と藤井樹(女性)は知り合うことができた。もし藤井樹(男性)が生きていたら、藤井樹(女性)を選んだんだろうなあというのが感じられて、わりとグロテスク。

30年ぶりに観ての第一の感想は色褪せない名作、で、時間が経つにつれいろいろ感想が引き出されてくるところも名作だと思う。

不思議なことに、この映画を再上映すると知ってまっさきに思い出したのは、高熱を出した藤井樹をどうするか問題だった。なぜかこの映画の中で一番印象に残っているエピソード。

(評価:★4)

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