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[コメント] 戦火の勇気(1996/米)

折りしもイラク戦争でアメリカは美談を求める政府とマスコミの相乗効果によりまたも戦火のヒロイン(ジェシカ・リンチ上等兵)を捏造したわけで......。懲りない国だな。そんな「勲章」の功罪に切り込んだサスペンス。戦時下における本当の勇気とは、勇敢なこともさることながら真実と向き合うこと。このことこそが真の勇気だとこの作品は語っている。結末に辿り着くまでの牽引力が凄い。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「彼女はもう死んだ!」

ウォールデン大尉の存否を虚偽報告したモンフリーズ軍曹は、自分たちが軍法会議にかけられることを恐れてヘリクルーにそう伝えた。

その直後、ウォールデン大尉がまだいた地帯にナパーム攻撃が行われた。これが真実だ。

この調査・報告後サーリングもまたボイラーの両親に誤射を告白し涙ながらに謝罪する。

「勲章」がひた隠しにしようとした真実だ。

戦争終結後の叙勲は過ぎた戦争を正当化し、愛国心を煽り、武勲を焦る血気盛んな人々に次の戦争を期待させる。

指導者の人気回復にも役立つ。

その裏に隠された戦死者のパーソナルな部分はどうでもよくって、戦争で勇敢に死んだ事実だけが必要とされる。

映画自体は、『羅生門』のように二転三転する回想シーンで綴られる。

真実への道程の牽引力はなかなかのものだった。

戦時下における本当の勇気とは、勇敢なこともさることながら真実に向き合うこと。このことこそが真の勇気だとこの作品は語っている。

話は変わるが、湾岸戦争での地上戦があんなに派手に行われていたとは知らなかった。

テレビのニュースで見せられていた湾岸戦争は暗視カメラによる空爆、対空射撃の緑がかった弾道と着弾点の爆発ばかりだったので、戦車戦だの歩兵戦だのはあまりクローズアップされていなかったように感じていた。

(評価:★5)

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