[コメント] 恋愛小説家(1997/米)
恋が、外見でもセンスの良さでも気の利いた台詞でもちょっとしたやさしさでもその場の勢いでも二人の過ごした時間の長さでもない、というハリウッド映画をはじめて見た気がした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そう、恋は「心」だという(こう書くとあんまり当たり前の)ことを、この映画は、丁寧に丁寧に描いてみせる。
ジャック・ニコルソンはもちろん変な男で、いわゆるコミニュケーション能力が低いタイプ、ってゆーの? 一方のヘレン・ハントだって、もちろん映画を見ている私たちにはとても魅力的な女性だけど、日常で十分その良さが認められているタイプだとは言い難い。
そんな二人が、お互いの「心」を発見するまでの恋物語は、今まで見たことがないくらい感動的だ。二人のやりとりが、単なる恋愛ゲームに堕してしまうような行き違いや誤解ではなく、表面のとっつきにくさの中に隠れている素の「心」にたどりつくまでの過程にちゃんとなっているから。
この二人を、映画を見ている側の私たちがよく知るためには、この映画の登場人物がしたようにしなければいけない。つまり、口で話すことではなく、実際に何をしたか、を見ること。ニコルソンが、きっかけは必ずしも善意でなくても、サイモンや犬やスペンサーに何をしてあげたかということ。ヘレン・ハントがどんなふうに息子を愛し毎日を明るく生きていたかということ。
ラストシーンのニコルソンの告白は、涙が出た。「世界一素敵な人」という言葉が、恋愛に浮かされて出てきた言葉や、相手に振り向いて欲しいための言葉でなく、本当に心からそう信じて言っている、と私たちは知っているから。
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