[コメント] ガタカ(1997/米)
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いいたいことの核は「遺伝子で差別するような人間社会は息苦しい!」って感じなんだろうけれど、きょうだいの葛藤とか恋愛とか中盤は長々とサスペンスとかが盛り込まれた結果、なんかよく分からない話になってしまった。
うーん……主人公が好きになれない。子供なら「なんかカッコイイから宇宙に行きたい! 宇宙飛行士になりたい!」で良いと思うが、目指す過程で苦労を重ねるうちに「宇宙飛行士として○○がしたい」ってもっと具体的で創造的な目標に変わってゆくものでしょう。そうじゃない大人に私は憧れない。主人公はもう寿命が切れているし、本気で「単に宇宙に行きたかっただけ」な可能性が濃厚だが、そのために膨大な他者の献身と迷惑(70年に7日だけのプロジェクトの1枠を盗み取った)を要しており、そこまでするほどの情熱を彼の言動から読み取ることも出来なかったので、主人公をヒーローと呼ぶ医師やヒロインまで薄っぺらく見えてくる。ていうかこの描き方だとヒロインって単なるトロフィワイフじゃない? しゅじんこうはがんばったのでえりーとぱいろっとになって、ついでにびじょとえっちできました、そんなのが観たいとは思えない私は。
もしかすると「人は遺伝子のくびきを乗り越えられる」とも言いたかったのかもしれないが、主人公は上に書いたようなやつだし、遺伝子的に優秀なジェロームや弟も幸せな人生を送っているように見えないので、結局誰も遺伝子を乗り越えられていないように思える。
つまるところ、そういう物語の根幹部分がグズグズだったせいで、中盤ずっとサスペンスを注入して主人公を臆病で受動的な男にせざるを得なかったし、興行的には失敗し、続編の企画も頓挫してしまったのではないか。
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