[コメント] 「A」(1998/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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荒木広報部長。テレビ見て評判オウムは悪いねと笑っている。親との別れを語る。グルがどんな人間でも自分は変わらない解脱させてくれるのは尊師だけと信者。小母さんに囲まれて私たちは教団を立て直す責務があると語る。被害者の会の代表は、出家した荒木氏と彼の母親との間に入って連絡をしている。荒木氏は母から電話で、夜道に気をつけろと云われた話をしている。
一橋大学のゼミ。なぜ解散しないのかとか学生から質問があるが、荒木氏の回答は映されない。森監督との一対一の対話。事件への無関係は今やあり得ない、どうするとの質問。ひとつ認めるとオウムへの憎悪を全て認めることになる。捨てられた親は出家できないし苦を断ち切ることができないのでは、というクレバーな質問にいい答えは返ってこなかった。最後は丹波へのお婆さんの見舞いが最後に描かれている。不思議な童貞青年。足に出来た疣は体の悪いものが下りてきたせいだとか見解を述べているがこれは怪しい。所詮そんなものかと私は思ったことだった。
信者たちの話。修行がしたい、オウムのようなしっかりした修行システムは他にない、と信者が語る。ああそれはそうなのかも知れない、と思わされた。既存の仏教寺院は素人の修行など受け入れてくれなくて、これが新興宗教の間歇的なブームを招いている。質素な食事、いずれ食べなくてよくなる。マスコミに知られていない読心術者がいると噂。池の魚と鳥が尊師の処に寄ってきた、四百人ほど目撃したと語る信者。怪しい話が蔓延している。
路上で山本氏が警察と衝突する件は本作のもうひとつの見処だった(グッドナイトベイビーが流れて音声は消されている)。山本氏が氏名を黙秘して職質振り切り転倒させられると、刑事のほうも空々しく転倒して公務執行妨害を叫ぶ。誰が見ても刑事がふざけている。こういうことを平気でするのだといういい記録。森監督は最初、映像をオウムにも警察にも出すことは出来ないと主張するが、起訴の惧れ濃厚になったため弁護士に供託。すると山本氏は容易く保釈される。
施設明け渡しが時系列順に描かれる。96年青山総本部。上祐判決の日。外に出ると押し寄せるマスコミ。カメラマン同士喧嘩している。亀戸総本部でキツい印象の麻原の長女が登壇して教祖の交代の広報。上区一式村、施設取り壊し。波野村、ジャンバラ精舎退去。亀戸総本部退去、周辺住民から炭そ菌の臭いの件で謝罪を要求され、荒木氏は私も原因が知りたいと応対している。富士宮総本部、退去寸前。記録しておいてほしい、見える人に見てもらいたいと荒木氏。千駄ヶ谷のアジトは小さい。最後は京都山科のアパートの一室のアジトで裁判対策をしている(反対運動の垂れ幕や貼紙がアパート中にある)。
破防法適用について並行して記録されている。日弁連講堂で荒木氏が自主弁明。破防法の賛否。日本愛国党の電柱ビラがオウムについて書いている。千駄ヶ谷の施設が弁護士主導で、破防法の適用要件がない説明のため公開される様子が映されている。
テレビ報道はビデオに全部記録されており(『A2』で膨大なビデオデータが示される)、広報部はこれをチェックしていた。荒木氏が内容についてテレビ局に苦情入れようとしてもディレクター不在、電話の受付者は名前を名乗るのを禁止されていると云う。村岡代表代行(眼鏡の女性)語る、全体像が判らない、林さんは具体的に証言しているから、本当にあったのだろう、と。
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