[コメント] アルフィー(1966/英)
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男性として女性とつきあうには様々な理由があるだろう。一番優等生的な答えでは、その女性を愛しているから。生物学的に言えば、自分の遺伝子を残す、つまり子供を作るため。打算的に言えば、自分の生活を支えてくれる人が欲しいから。様々な理由が挙げられる。
しかし、ここでのアルフィーの姿はそれらにあまり当てはまっていないように思える。彼が女性を口説くのは、まるで義務のように見えてしまい、それによって何か得をしようと言う打算でもなければ、「この女が俺の全てだ」と言う熱烈な愛情に支えられているわけでもない。事実、彼はいつまで経っても貧乏暮らしのままだし、自ら女性に合わせていくことで、職も転々としている。女性を口説くこと自体が彼の生活そのものであり、そのために生きているとしか見えない。だから彼の生き方は楽しんでいると言うよりはむしろ苦しんでいるように見えてしまうのだ。見方を変えれば、修行僧のようにさえ見えてしまう。
彼にとって女漁りとは、苦しみそのものではなかっただろうか?しかしそれを止める事自体が出来ない…ほとんど麻薬だ。
男として、彼の生き方は確かに羨ましいと思う一方、全然羨ましくない。仕事も出来ず、常に裏切られ続け、結果的に何も残らない生活なんて。
この虚しさこそが本作の肝であり、だからこそ傑作と言える作品なのだろう。観終わった後、少なくとも私はまだ幸せなのかも。と思えたりするし。
数々の賞に輝いた本作だが、怠惰な生活が題材として取り上げられたため、当時のプロダクション・コードに引っかかってしまったそうだ。だがこれが映画製作の裾を広げたのも事実。1966年というのも、映画史に於いて重要な位置づけを持つ年と言えるだろう。
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