[コメント] ホーム・スイート・ホーム(1914/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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四話構成のオムニバス。
一話目は楽曲「ホーム・スイート・ホーム」(「埴生の宿」)の作者J・H・ペインのお話。ペインはヘンリー・B・ウォルソール。母親はジョゼフィン・クロムウェル。ファーストカットは格子窓のような画面。これが幕のように上がり、揺り椅子に座っている母親が登場。そこに息子がフレームインする。リリアン・ギッシュとドロシー・ギッシュが登場するシーンでも二人が椅子に腰かける。というように椅子を使った演出が印象的だ。概ね旅先のペインのシーンと、母親やリリアン・ギッシュが待つシーンが交互に繋がれる。ベッドで眠っているリリアン・ギッシュのカットが極めつけのフォトジェニックなカット。
二話目は東部から西部にやってきた青年ロバート・ハロンと食堂?の娘メエ・マーシュ(Apple Pie Maryという役名)の話。マーシュが蓮っ葉な感じをよく出している。悲嘆にくれベッドから床に落ちるマーシュと馬で駆けつける青年を繋ぐ部分がクロスカッティングと云えばそうだろう。
三話目は三兄弟と母親の話。長男ドナルド・クリスプと二男ジェームズ・カークウッドは何故か仲が悪い。岩壁と海が見えるロケーションが素晴らしい。争う二人と馬で保安官を呼びに行く三男ジャック・ピックフォードがクロスで繋がれる。海岸線を駆ける大俯瞰の反復に瞠目。走る馬とカメラが並走したカットもある。私は三話目が一番気に入った。
四話目は妻ブランシュ・スウィートと夫コートネー・フートと誘惑者オーエン・ムーアの話。バイオリンの調べで結婚式を思い出す妻。家屋の装置の構成、空間描写が判りづらい。妻と誘惑者がいる部屋、ドアを挟んで夫が眠っている部屋、そしてアパートの共用部分だろうか、バイオリンを弾く男とメイドがいる空間が交互に繋がれる。四話目はやゝ見劣りがする。
そしてエピローグ。地獄のような、地の底のような場所で苦しむ男たちと天上の天使。天に昇る女は最初誰だか判らなかったが、だんだんとその特徴的な唇の形でリリアン・ギッシュだと判る。地の底から這い上がろうとする男はペイン役のウォルソールだ。リリアン・ギッシュに抱きしめられてエンド。二重露光の処理はお粗末かも知れないが、やりたかったことは判りやすい。リリアン・ギッシュのこの再登場には素直に感動してしまう。
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