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[コメント] バットマン(1989/米)

「どうしてこんなことをするの?」「私にもわからない、でも誰がやらなきゃいけない。」バットマンという男を説明するのはこれぐらいでいい。
がちお

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そもそも、バットマンの戦う理由は復讐だけではない。

バットマンの戦う理由をフランク・ミラーのように「使命を帯びている」と語ることもできるが単純に、わかりやすく言えば自分のような犯罪もっと言えば理不尽による被害者をもう二度と生み出したくないからである。

だからこそ、今作で両親の仇であったジョーカーを殺したあとでもバットマンはゴッサムシティを守り抜く決意をする。

クリスチャン・ベールのそれに比べれたらマイケル・キートンのバットマンは精神的に強くふてぶてしく冷酷だ。

だが、反面で悩みもあり両親の死に対してトラウマがある。

ノーランやベールはこれらに対して延々と説明的な台詞で語っていたが、マイケル・キートンの役者としての素晴らしい所はキートンの目線と一言だけでそれを語る。

大金持ちで運動神経も余裕も暇もあるブルース・ウェインが立ち上がり、理不尽な暴力から市民を守らないといけない。

それがバットマンなのだ。

それをこの映画たった一言で表現する、それがコメント欄にかいた台詞である。

口下手でコミュニケーションが下手だが、心の奥底では思慮深いティム・バートンらしいセンスだ。

そこが無口で愛想が悪いバットマンらしくあり、バートンはバートンなりにコミックを読んで研究したのだなと感心させられる。

そもそも、コミックにおいてバットマンは目ではなく口の動きで感情を表現する。

それを実写映画化の際に目の動きで感情を表現するというのは、アニメ畑生まれのバートンらしいセンスだ。

人を殺すことに対しても、俺はそこまで不快には感じなかった。

よくこの映画でバットマンは人を殺す、だからこの映画はバットマン映画ではないと批評する、的外れな批評家やコミックブックのオタクがいるがそんな人間は何もわかっていない。

そもそも、映画という媒体だからある程度人が死んでしまうのは仕方ないしバットマンは登場初期は悪党はバットマンの手で直接的に殺されることも多くあった。

ジャック・ニコルソンのジョーカーに関しても、ヒース・レジャーのそれが話題になっているがなるほど狂気的な思想や表情の出し方で言えばヒース・レジャーの方が上だが、大物悪役としての威厳はジャック・ニコルソンの方が上だろう。

何よりもこのジョーカーの凄いところはバットマンをここぞという時に欺きとおしている点だ。

まず、スマイレックス工場での一件はバットマンは向上を抑えることはできたがジョーカー逮捕はできなかったし、パレードでの決戦の際もバットマンの飛行メカをジョーカーは自身の作り出したおもちゃ銃で撃墜している、そしてラストの一件は肉弾戦では負けていたジョーカーだが、不意打ちでバットマンとヒロインを宙づり状態にしている。

ヒースレジャーのジョーカーに勝るとも劣らない知略をみせている、お見事だ。

このジョーカーが哀れという意見をみにするが、俺はそう思わない。

元々こいつはウェイン夫妻を殺す腐れ外道だったのだ、肌が漂白しようとも貴様の悪事のせいであり自己責任因果応報というもんである。

このウェイン夫妻を殺したジャックのせいでブルースはバットマンになり、バットマンのせいでジャックはジョーカーになったというある意味カルマを思わせる円環構図は非常に気に入っている。

小悪党が狂った正義を生み出し、狂った正義が狂った悪を生み出した。

皮肉でありながら、原作におけるバットマンとジョーカーの関係をうまく表現しているなと今観ても感心する。

アクションも上手く、映像で感情を表現し、ケレン味のあるアクションでみせる、20年以上たった今でも尚クオリティの高い映画だ。

やはりバットマンの映画は数あれど最も完成度は高いのはこの映画で間違いないだろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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