[コメント] アサインメント(1997/米)
知られざるスパイ・アクション・スリラーの傑作! このジャンルには安直な作りのものも多いけれど、これは低予算ながらレベルの高い脚本、演出、キャスティングという要素がうまくバランスし、観る者をぐいぐいと惹き込んでいく。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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舗道に滴り落ちる水、それがカメラが引いてゆくと子供の立ちションであり、パリの裏通りであることが見えてくる。そのままカメラが(ちょっと安っぽい合成で)安ホテルの一室に入ると、情事を終えた男がタバコで蜘蛛を焼き殺す、という冒頭の一連のシークエンスからして惹き込まれた。期待以上の儲けもの、というあたりで+★1個。
謎と意外性をうまい具合に散りばめて緊張感を維持する脚本。テンポが良く、適度にハッタリを効かせ、過剰に説明的にもならず、無意味なオシャレ感覚にも転ばない演出と映像のセンス。それにドナルド・サザーランドとベン・キングスレーというどっしりしたキャスティング。テロリストとの戦いで、「強くて優しい」模範的な海軍軍人にその残忍性が乗り移っていく様子を演じるエイダン・クインの二役も、リアルで説得力がある。
音楽だけはちょっとベタなセンスかもしれないが、適度に抑制も効いていて良かった。貧弱な画面を補うかのようにやたらとうるさい音楽で煽る、という昨今流行のやり方には辟易しているので。
ラストでは、冒頭のシーンと呼応して主人公が「蜘蛛を焼き殺さない」カットがあるけど、これは考えてみると意味深長だなあ。
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