[コメント] 悪魔を憐れむ歌(1997/米)
あのゾッとするはずのシーンで何故プププと笑ってしまったのだろう?と不思議でしたが、tomwaitsさんのコメント「バケツリレー」で訳が判りました。悪魔のバケツリレー…ほとんどコメディですが、これを邦題にして欲しかった。江戸川長春さんの指摘どおり、あのシーンと接触で乗り移る設定はコメディなら存分に笑わせてもらえるはずなのですが、それで本気で怖がらせようとしても無理があるようです。
気になるのは、悪魔の仕業とはいえ、死刑囚という事は被害者とその遺族がいる訳なのに、本作では悪魔の謎を追うばかりでまったく遺族の気持ちに触れていない事。冒頭の処刑シーンにしても、最後までバカにした態度の死刑囚に遺族なら憤死モノ(それとも皆殺しで遺族そのものがいない設定かも知れないけど、とにかく作中で死ぬ人達の遺族がまったく姿を見せない)。
この映画の唯一のアイデアで最大の呼び物である、タッチで感染する悪に恐怖を感じないというのが最大の難点。感染もしてないのに、ときに人間は悪魔的なことを実際にしでかす訳で、そういう現実の方がもっと恐ろしい。ナチスとか新興宗教の凶行とか…。感染の恐怖なら、エボラなどの恐ろしいウイルスの方が映画的にもっと怖い。
あまりに退屈なので、舞台裏に思いをはせてしまった。まだ名前のある役をもらえない駆け出しの俳優の卵たち。そんなある日一本の電話が。やった!役名はないけど、重要な役をもらった!主役級の悪魔を演じるんだ!この僕(私)が観客をゾッとさせるんだ!と嬉しそうに友人や家族に電話している様子が目に浮かびます。そして、それぞれが家の鏡に向かって憎々しい目つきであの歌を何度も歌っていたことでしょう。お祖父さんの場合は、子供にCD借りて練習してたりして。うーん、舞台裏は微笑ましいなぁ。
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