[コメント] スライディング・ドア(1997/英=米)
アイディアが優れているし、面白いんだけど気になった。これは誰の視点?
映画特有の神の視点でもなければ、主人公ヘレンの視点でもない。作り手の視点だけがいやらしいくらいに感じられ、アイディアを活かしてどれだけ面白くできるか頑張っている脚本家の姿が見えてしまった。それ自体は別に悪いことではないと思うし、面白い映画を観ている時に、ふと我にかえって脚本の巧妙さに気づくことはよくあることだが、この映画の場合はそれが普通以上に目立ってしまっていたように思う。脚本家は登場人物を駒のように動かすけれど、それが駒以外のなにものでもないとき、その作品に愛着を感じることは難しいのではないだろうか。主人公の視点で観たり、感情移入することができないにしても、作り手の主人公への親しみみたいなものがもう少し感じられても良かった。残るものがアイディアの面白さだけというのは淋しい。
とはいえ、かなり面白いので、割り切って観れば最後まで楽しめる作品になっている。
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