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[コメント] うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984/日)

これはまさしくフィリップ・K・ディックの世界。妙にヒューマンに変えられちゃった『ブレードランナー』なんかよりずっと、ディック的な世界なのです。
イライザー7

そしてディックの作品群と共通して言える欠点として、決着のつけかたが苦しいんですね。というより、この手のイメージの大風呂敷のあとは、どうにもうまい決着をつけることができない。

その点『ブレードランナー』は、作品のストーリーはフィリップ・K・ディックにもらいながら、主題をまるで変えたことで、ストーリーを破綻なく美しく終えることができたのです。

しかし、この、めくるめくディック的世界は、そのイメージだけで十分お釣りが来るほどうっとりする。ふだんは地上でこせこせやっている私たちの頭を、どっか宇宙の果てまでブン!と飛ばしてくれる爽快さ。いわば脳味噌ストレッチ。

展開にびっくり、という段階を越えてもこの映画を何度も楽しめるわけは、その飛ばされる感覚がたまらないからだろう、と私自身は思っています。いつも曲がってる背骨がストレッチで気持ちよーく伸ばされるのといっしょでね。

で、問題の、映画監督が自分の世界観を表現するのに、みんなにおなじみのキャラクターやシリーズものを使うことの是非については・・・んなの、へっちゃら、全然OK。どんな作品もストーリーも、利用されてなんぼ。利用されてすり減るようなキャラクターなら、それまでのこと。 たとえば、私の愛する2つの作品。ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」と、リドリー・スコットの『ブレードランナー』。(そう。悪口言ってたみたいだけど、大好きなんだ、『ブレードランナー』も。)2つは全く違う作品。違っていて、そして、どちらも素晴らしい。それでいいのだ。

「うる星やつら」と押井守もしかり。これでいいのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ホッチkiss[*] Ryu-Zen[*]

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