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[コメント] バットマン・リターンズ(1992/米)

今回はストーリー面でもドラマ性が増し、どのエピソードも哀愁に満ちている。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ダーク・ファンタジーヒーローアクション映画。『バットマン』の続編。

前作同様、ダーク・ファンタジーの世界観の構築は素晴らしく、冬のゴッサムシティの街並みの雰囲気は申し分ない。ストーリーも今回はドラマ性が増し、乳児の頃に捨てられ、ペンギンに育てられた男のペンギンのゴッサムシティの侵略、会社社長シュレックの悪事を知ってしまい殺され、猫の性能を持って生まれ変わった女性、キャットウーマンの奔走。バットマンことブルース・ウェインとキャットウーマンことセリーナの恋愛など全てが哀愁に満ちている。ちょうど同監督の『シザーハンズ』の沿線上にある感じ。

キャラも猫の本能のままにバットマンとペンギンの間で敵と味方を繰り返す自由奔放なキャットウーマンというキャラはヒーローものの映画にはなかなかいない斬新なキャラクターで新鮮。ゴッサムシティの長男の虐殺を企てる今回の敵ペンギンも前作の敵とは違い、親に捨てられた過去のトラウマ、彼を利用して漁夫の利を得おうとするシュレックの存在など同情の余地がある点もただの敵で終わらせていない感じでよかった。

ただ、惜しむらくは前作もそうなのだがバートン版のバットマンは正義の行動原理が何か自分中心という感じで、孤独なヒーロー像としては確かに人間味はあるが、私欲を中心に描きすぎな感があり、従来のヒーローもののような純粋な正義感が感じられない。今回で言えばペンギンが突如現れ、ゴッサムシティ中の人々の共感を得ると、彼の素性を探り出すなど何か自分が中心じゃないと気がすまない人間という感じに見える。

しかし、そのバットマンがペンギンの陰謀にはまり、殺人犯に仕立て上げられ、ゴッサムシティの住民からも支持を失うところはしっかりと描かれているし、ペンギンの手下によりバットモービルに罠を仕掛けられバットマンが初めて窮地に陥るところも緊迫感があり、なかなか悪くない。

映画としてはメインのキャラだけでなく脇役の敵にも個性的なキャラを用意しているところは前作を踏襲していて悪くなかったが、バットマンのアクションは前作よりもおとなしくなった感じで、その分キャットウーマン役のミシェル・ファイファーは自由奔放でセクシーなキャラをうまく演じており、アクション面でもかなり頑張りが感じられた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Osuone.B.Gloss[*]

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