[コメント] 渚のシンドバッド(1995/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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海辺の場面はとにかく秀逸。ここに全てが集約されている。しかし、そのせいか、前半シーンに無理を感じる設定や展開が幾つか有ったのが惜しまれる点である。
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『ハッシュ!』『二十才の微熱』『渚のシンドバット』と観てきて、ようやく分かったことがある。私はどうやら橋口作品が合わないらしい。映画的に云々という訳ではない。おそらく監督橋口氏と私の思想が、近似しているが微妙に異なっているという事なのだろう。全く自分とは異なる作品には共感したり、反発したりできる。しかし、覗いた橋口ワールドは鏡に映った自身だった。しかし、どこかが違う。「これは私じゃない」。
「愛」や「好き」の定義って難しいと思う。橋口監督はその点、私にも計り知れないほどの悩みと苦労をされてきたのだと思う。しかし、それを同性愛という切り口で(しかも三作とも)描き、問題を提起したり解決しようとしたりするのは<(幼稚な言い方をすれば)ズルイ>と思う。もう一歩踏み込んだ論議をしたいと思ったところを、スルリと交わされたような、そんなフラストレーションが残る。『ハッシュ!』の朝子の存在しかり(『ハッシュ!』のコメントに延々と拙いコメントを書いた)、今回の『渚のシンドバット』しかり。監督は、ただ、ある特別な人間の、特別な愛を描きたいと思っているわけではないだろう?その割には設定で本質から逃げていまいか?私は、『ハッシュ!』にしろ『渚のシンドバット』にしろ、なにかこの監督の、もの凄く屈折した感情が伝わってきて、とても居心地が悪くなる。(『二十才の微熱』は良かったんだけどな)
<蛇足>
ちなみに私はかつて、女の子を好きになったことがあります。この映画の主人公さながらだったので、きっと監督と同じような「好き」だったのだと思います。でも私は、教室で「ここでキス<できる>?」なんて言いません(したい、とか、してほしい、ではなく)。フラレて体売ろうとなんて思いません。ちなみに私は、男の人を好きになったことがあります。この映画の主人公さながらだったので、きっと監督と同じような「好き」だったのだと思います。でも「私にキス<できる>?」なんて言いません。フラれて体売ってやろうなんて思いません。・・私の違和感ってそういうことです。
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