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[コメント] 生きない(1998/日)

最もらしいビートたけし関連作品。大河内奈々子は本作と『岸和田』だけで邦画史に残る。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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バス運転手とガイドの「昭和枯れすすき」が本作の主題に観客を無理矢理引きずり込んで素晴らしく、大河内の「手のひらを太陽に」の対照(「わたし保母さんになりたいの」)が鮮やかだ。禁煙は続けるべきか、ジョギングの習慣など自殺と対極にあるネタを、おっさん二人の喧嘩で転がす手際がこなれている。巨大宴会場の食事や夜の閑散としたアーケード街の散歩に不思議な寂しさがこもっている。

沖縄民謡が何を歌うのか私には判らないが、沖縄の風俗は(墓地ツアーなのに)生気に溢れている。バスはひめゆりの塔にたどり着かず、ただ大河内の折り紙の鶴が示される。ダンカンも一緒に死ぬのかという宙吊り感、彼こそは自殺志願者だったのだという収束になるともう何とも云えない。フレーム外へ転落するショットは本作のベストショット。オチの無意味なバス事故報道はまさにたけし流だった。

(評価:★5)

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