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[コメント] CUBE(1997/カナダ)

キューブからの脱出という恐怖を描く一方で、人間性が試されるというドラマもしっかり描けているところは感心。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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立方体(キューブ)の建物に閉じ込められた男女の脱出を描いたサバイバルホラー映画。

ストーリーだけ見れば『ポセイドン・アドベンチャー』などに見られるような危機を一つ一つ脱していくパニック映画の雰囲気なのだが、この映画では閉じ込められた男女たちがなぜ幽閉されたのかといった論点はあまり中心にせずキューブの監獄からの脱出がメインに描かれている。

映画としては罠の仕掛けられているかもしれない立方体の部屋を登場人物たちが持ち前の道具や自分たちの得意能力を使って通っていくところが緊張感をうまく煽っていて実に秀逸。さらにキューブに仕掛けられた罠もただ単に動きに反応するものだけでなく人間が通らなければ発動しないものや、音を出すと作動するものなど実に多彩で、キューブの斬新なセット構成のアイデアもさることながら、罠を回避するときに毎回違った方法を試さなければならないという緊迫感もうまく出している。

シーン的には音で罠が作動するキューブを音を出さないように脱出するシーンが一番恐怖感・緊張感の演出に優れていた印象。また最初は素数の方式でキューブの罠を解いていたが、途中で通用しなくなり様々な公式が試されていくところも登場人物の個性をうまく生かしていて素晴らしかった。

またこの作品ではキューブから脱出を描く一方で、キューブに閉じ込められるうちに理性が保てなくなりエゴを見せるようになる主人公たちの心理状況まで丁寧に描かれており、最初は団結心の強かった警官クエンティンが話が進むごとに悪の面があらわになったり、最初は傍観者だったワースが後半になって団結するようになったりするところはなかなかよく描かれている。ラストでワースが自分がキューブの設計に携わったことに罪悪感を感じて残るところはなかなかかっこいい。

ただ、気になるのはキューブほどの複雑な構成の建造物を考えると建設工事の段階からかなり大きい規模の工事が必要とされると思うのに機密状態で建設ができるのか疑問。例え建設に政府が関わっていたとしても、細かな点でばれてしまわないかと思ってしまう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)HILO[*] RED DANCER[*]

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