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[コメント] 学校 III(1998/日)

自閉症者について多くのことを教えてもらった。「フリーク」なケーシー高峰の配置が絶妙(含『浮雲』のネタバレ)。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その他朝鮮人の笹野高史含め、色んな人の顔が見えてこその社会だという山田洋次の基本姿勢が、近年の若い監督たちの邦画に引き継がれているのを心強く思う。

ネットで「アイアイ」を調べたら「赤ちゃん泣きやみ 子守歌」と出てきた。いいじゃないか町中で自閉症児にアイアイ歌っても。アメリカのビッグ・ファット・マザーなら処構わず堂々と歌うだろう。しかし本邦の同調社会でこれをするには相当の勇気がいる。この社会を相手にする大竹しのぶの立ち居振る舞いに頭が下がる。彼女の配役も絶妙で、いつ得意技の怒鳴り声上げるかと待っていたら最後までそうはしないのだ。その造形の意味する処に頭が下がる。

訓練校の詰め込み授業振りが何ともリアル。無償なのが偉いが私には無理だ。小林稔次(退職金が3千万余もあるんだなあ。嗚呼富の偏在よ)が類型的で弱いのが残念(息子の伊崎充則はいい奴だ)だが、大竹にはあんな魅力のない男でも縋る相手が必要なのだという哀れはある。手術室に入る直前のカットは(多分意識的だろう)『浮雲』の今際の際の凸ちゃんが想起された。いい女優さんだとしみじみ思う。

(評価:★4)

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