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[コメント] 殺人狂時代(1967/日)

笑いは難しい。同じ監督であっても、作品ごとに受ける印象は大きく変わる。本作で言うと、仲代達矢と砂塚秀夫のキャラ造形や演出との相性だろう。幸運にも自分には両キャラクターとも愛おしく感じられた。
irodori

個人的に、今までに観た岡本喜八作品(コメディ要素が少ない『日本の一番長い日』を除く)からして、自分とは好みが壊滅的に合わないのではないかと危惧していたが、そうではないことが判明した記念すべき作品。

天本英世も最高だ。スペイン式決闘にいたる流れには虚を突かれたが、ナチス妄信のクレイジーさと知性を同時に感じさせる流暢(そう)なドイツ語での会話シーンなど、風貌とキャラクターの適合具合も見事。

バーラウンジの美術や造形など、『時計じかけのオレンジ』よりも前に世に出ていることは誇らしい。

痴漢がいる電車が揺れて停車するところで線路沿いを歩く女性の後ろ姿にカッティングされたり、地下鉄新宿駅で仲代が殺し屋を突き飛ばし電車が入船するところで料理にカッティングされたり、特に前半部のアクションつなぎは驚きがある。

登場時間は短いが、冒頭近くに、仲代の家を訪れるトランプの殺し屋(小川安三)のふっくらとした風貌が印象に残る。サスペンス要素がありながらギアがなかなか上がらない、作品全体に流れる緩さにマッチしたキャスティング。彼に対応する仲代も良い。

シトロエン2CV、ルノーCARAVELLE1100、ベンツW111だったりと、60年代のいかした車も目を楽しませてくれた。

(評価:★4)

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