コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 機動警察パトレイバー 劇場版(1989/日)

30年前の製作にもかかわらず、今(2021年)観ても、そのまま十分通用するほど面白い。それもSFとしても、刑事モノとしても、よくできている。何より企まれている「陰謀」が現代でもそのまま通用するアイディアとリアルさ、スケールになっているのが凄い。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ぽろっと「レイバーは原発の炉心部でも稼動している」みたいな台詞が出てきたりして、基本的には大型重機が無人暴走=でたらめな作動で周囲に多大な被害を与えるという話が、その数千台という規模や、利用されている場所の広さで、社会に壊滅的な損害をもたらすという企みが、スケールの程よさというか、今でもリアルに感じられる設定になっている。

画的には人物描写にやや趣味にあわない点はあるものの、全体的には丁寧だし、何より人物よりもメカ、機械に注目すれば、リアルなかっこよさにあふれている。

以下は余談になる。

ゆうきまさみの漫画を読んでいても感じたのだが、「パトレイバー」の世界は1989年時点の近未来、だいたい2000年前後を描いており、また近未来として突飛な設定、小物などはなくだいたいは、製作当時に予想される社会を舞台にしてリアルさを出している。なのに漫画にも映画にも、スマホどころか携帯電話が出てこないのだ。

漫画の方ではかろうじて最後の方に「車載電話」(若い人は知らないだろうが、携帯電話がショルダーバックサイズの大きさだった頃には持ち歩くよりも自動車に備え付ける車載電話の方が普通だったが、多分、そう普及する前に携帯電話の小型化に取って代わられて消えていった)が登場するくらいだ。シリーズ製作当時、携帯電話は「レイバー」よりも想定しにくいものだったのだろうか。

ちなみに漫画版では最後のクライマックスは特車2課の本拠地に敵対するレイバーが乗り込んで占拠するという設定だが、敵対勢力は占拠をできるだけ隠すために無線を壊したり、電話線を切ったり、車載電話を壊すのだ。そして敵対勢力が去ったあとに特車2課の面々が外部と連絡をとるために近場にある公衆電話まで走っていく、という描写がある。今から思えば、どこかほのぼのとした近未来ではあるなあ。

なお「インターネット」については、直接的な形では出てこない。ただこちらはパソコン通信というものが一部にあったため、漫画でもゲームをダウンロードするとか、本作でもデータ通信らしき描写が垣間見える。

それだけに余計に「携帯電話」というのが、SFを超えた技術的発展をしたということなのだろうかと、ちょっと気になったのである。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)DSCH[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。