[コメント] アトランティス(1991/仏)
環境ビデオと言われようが、BGVと言われようが、「俺は好きなものは好きだ」という主張がこの映画にはある。そこが何より良い。
但し、ひとこと言っておく。ここに収められた映像は全て男の視点で捉えられたものだ。正直言って、この凄さは女性には分からないかもしれない。なぜなら、美しい珊瑚礁の中で泳ぐチョウチョウウオやクマノミなんかは一切出てこないからだ。その分、凶暴なホオジロや巨大なタコ、沈船などスペクタクルな映像は盛り沢山で、この辺がNHKが作るような環境ビデオと一線を画すベッソン作品ならではのところである。だからこそ、この映画は、男のダイバーが観るべき映画だ!!
しかし、ダイバーしか楽しめないかと言えばそうではない。良く見てみれば、やはり映像のプロにしか撮れないカットが多く収められているのも事実である。例えば、音楽に合わせたかの様なイグアナのダンス、水底を滑るように泳いでいる海ヘビのカット、シーライオンの円舞、マンタの編隊飛行・・・などは偶然撮れたものに単に音楽を乗せて編集しただけというのではなく、前もってコンテを描き、全体的な構成を決めておいてから、綿密な潜水計画を立てて1つ1つ丁寧に撮ったようにも思える。
この映画ではベッソン自らが、灼熱の太陽が降り注ぐ南国の海から氷で覆われた冷水の海まで、実際に潜って撮影に参加したそうだ。暖かい海はともかく、冷たい海を潜る辛さは半端ではない。こんなことは本当に海が大好きな海バカ人間でなくては絶対にできないことだ。そんな人がこの映画を撮ったということを頭の隅にでも置きながらこの映画を見れば、例え海を潜ったことの無い人でも、その凄さはきっと伝わるはずだ。
用意は全て整った? OK? さあ、潜ろうか?
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