[コメント] リング2(1999/日)
恐怖映画のシンプルさはないが。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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恐怖映画というジャンル映画としてのシンプルさはないけれど、脚本の高橋洋は心霊現象というものに意匠に留まらない関心を有しているひとなのではないかと思えた。それは決してオカルト趣味ということではなく、そこに存在論的な開けを感触しているということ。優れた恐怖映画は、すべてそこに存在論的な開けがあるからこそ恐怖映画足り得ている。存在が、無が口を開けているからこそ、それは恐怖映画足り得るのだ。
たとえばこの映画なら、実験の果てにプールの水面に地獄を見出してしまうあたりの場面は、普通に見ていたら愚にもつかないものに思えるかもしれない。だが見方を変えれば、じつは心霊現象の源は人間存在の根本的な無明性にあるのではないかと考えさせられたりもする。人間存在の奥底、その語り得ぬ真実在としての魂は、けれど孤独なままでは決して無明性から自由になれない。自由になる為には、そこから救い(掬い)あげてくれる誰かの手が必要なのだ。それだから、貞子が「どうして貴方達だけが助かるの…」とうめいてしまうことにも、それなりの納得がある。
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