[コメント] ビッグ・ヒット(1998/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ハリウッドに於いて、日本より中国、殊に香港は進んだ国である。 日本人監督がハリウッドで成功するのはこの何年も後、清水崇までないが、この映画の時点で既にジョン・ウーはハリウッドに於ける成功者として製作総指揮を務め、その仲間(子分?)を監督として招聘している。 日本人成金が映画制作に失敗したという設定の本作は、香港人制作者達の「ざまあみろ日本人!ざまあみろ!」という思惑が読み取れるのである。
ところが、その日本人が親分と繋がっていたという事態に進展する。そう、この映画の制作はトライスター。コロンビア映画の製作部門。そのコロンビアは日本企業ソニーに買収されている。 「ざまあみろ日本人!」と香港人が描写して喜んでいたこの映画は、日本企業の資金で作られていたのである。その暗喩が「日本人が親分と繋がっていた」という状況に繋がるのである。
アメリカ中産階級の“画一的郊外住宅”の描写がある。隣人宅と誤ったり、一斉に芝刈りを始める描写がそれである。 残念ながら「隣宅と誤る」ことはクライマックスに活かされず、一過性のコメディー描写に終わっているが、この視点は先進的である。 同じくアメリカ中産階級を舞台としてアカデミーを受賞する『アメリカン・ビューティー』は、実に本作の翌年なのである。 「誰にも嫌われたくない」という本作の主人公のキャラクター設定は、当時のアメリカ中産階級の代表的思考と言っていい。
宗教問題も含め、思想的に大変深い映画である。
大嘘。
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