時代の空気は濃厚ながら、意外なほど古びてない。少年院の風景や売春に走る女の子の描写が、乾いていながらも生々しい。特に売春に関してのあっけらかんとした認識って、（動機は違っても）今に通じる感覚がありそうな。

少年院の連中の外面の良さがまた良い。過度のイジメやケンカで発散してないだけ鬱屈とした空気がさらに伝わってくる。大人たちが笑いを誘うほどに白々しくて、それがまた対称的。そんな少年院の風景の中で、勝ち得た自由に落胆して自殺してしまった「カンモク」と、ホームベースなんかない事に気付きながらも、自分のスタイルで走りつづける「サード」の対象が鮮やか。

それにしてもおエライさんの演説のシーン。「サード」が屁をして退場させられながらも、場を取り繕おうとしてわざとオナラについての話にこじつけてったのがヤケに笑えた。