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[コメント] 美女ありき(1940/英)

映画単体としての出来はともかく、名台詞の数々にはツボを刺激されまくりました。(ついでに言うなら背後のゴシップにも)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 エマ夫人とネルソン提督の恋物語を基本的に忠実に描いた作品。本作の場合、ストーリーは兎も角キャラクターが非常に立っているので、見栄えは非常に良い。何せ前年『風と共に去りぬ』の大ヒットを記録したヴィヴィアン=リーと、スキャンダルの末に結婚した彼女の夫ローレンス=オリヴィエの夫婦共作作品。キャラが立たないはずはない。

 やや演出はチープな気もあり、大作という雰囲気ではないが、目玉のトラファルガー海戦は手作り特撮風で、それはそれでなかなか味がある。

 私なりに言わせてもらうと、本作の最大の魅力は名台詞の数々にあると思う。「自然には勝てませんよ。内も外も」(自分の妻が不倫していることを知りつつ夫のハミルトンがぽつりと言った台詞)。「今の道は私が職を得た道よ」(ネルソンとの不倫が公然となって、周り中から責められた時のエマの台詞)。「それからはないの。それで終わり」(落ちぶれて、ネルソンの死んだところまで話したエマが締めくくった最後の台詞)。見事に私のツボにはまる台詞たちだ。

 本作はリーとオリヴィエの夫婦競演作だが、実はこの結婚はお互いに不倫の果て(『無敵艦隊』(1937)で競演した際、二人は不倫関係となり、アメリカに帰国したオリヴィエをリーが追いかけていき、そこで『風と共に去りぬ』の主演に抜擢されたというのは有名な話)。この年互いに離婚が成立し、晴れて結婚した二人の作品だけに、映画本体よりもゴシップで売れた作品。それにしても結婚後、最初の競演作品が不倫の恋を描いた作品とは皮肉なものだ。『無敵艦隊』の続編にあたる作品として捉えることも出来る。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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