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[コメント] 八月のクリスマス(1998/韓国)

回数を重ねて見るほどに、涙の量も多くなる。 セリフが少ない分、心情を考えてしまうんだなぁ。
琥珀

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







圧倒的なセリフの少なさ・・・。今回で見るのは4度目となるけれど、あらため てそう思います。映画なんだから、見ている側に伝えなきゃいけないんだけ ど、なにしろ会話が少ない、ナレーションも少ない。 でもそれが、ここまで惹きつけられる結果となるのです。出演者も大変だった でしょう。感情を表情だけで表さなければならない。セリフが無いのだから。

写真店を営むジュンウォン。彼は自分の死期が近いことを知っている。 知っているからこそ、想いを寄せるタリムには何も言えないでいる。 深夜布団にくるまり声を押し殺して泣く姿、はたまた突然の病気の悪化で入院中、「誰か呼びたい人はいないの?」そう妹に聞かれても「いない」とそっけなく言うシーン。 病室からの景色を遠い目で見るジュンウォンの心の声が聞こえてきそうです。 「逢いたい、だけど逢えない」 タリムへ惹かれていく想い、だけど自分には未来がない。セリフは少ないけれど、ジュンオンの仕草は言葉以上の悲しみを表しています。 退院後、昼下がりのカフェの窓越しに偶然タリムを見つけ 駆け寄りたい気持ちを押えて、ゆっくりとガラスを這う指先も同じ。

「僕の記憶の中にある写真のように 愛もいつかは思い出に変わると思ってい ました。 でも君だけは思い出ではありません。 愛を胸に秘めたまま旅立た せてくれた君にありがとうの言葉を残します」

タリム宛の遺書を読み上げるジュンウォンの声で、映画の幕は閉じます。

季節は夏から冬に変わり、雪深い写真店を見つめる美しい女性がいます。 髪が伸び、少し大人の女性になったタリムです。ショーウィンドウを見て微笑 む、大好きなラストシーンです。ガラスケースの中にどんな写真が飾られてい たのか、ぜひ映画の中で確かめてください。

(評価:★5)

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