[コメント] ジャンヌ・ダーク(1948/米)
前々から2つの疑問があった。1つはあんな小娘があれだけのことを何故出来たか?という事と、何故あんな最後になったのか→これは何故シャルル7世が助けなかったのか?という事だ。 最初の疑問については、この映画はよく描いている。問題はもう1つの疑問だ。
あの戦争は英王、仏王だけでなく、大きな力を持つ諸侯たち、教会が入り乱れての戦いで、とにかく金が絡み、皆がちょっとでもいい立場に立とうとする戦争だった。地位はあるが金はないシャルルも同様で、オレルアンの戦いの後、パリへの進攻を促すジャンヌに耳を貸さず、金欲しさに敵方のワイロを得て、平和条約を結ぶ。
ここで疑問だ。彼は神の使いジャンヌを信頼していなかったのか?、というより神がコワくなかったのか?という疑問だ。
思い出すシーンがある。初めて2人が出会った時、宴会の人々の中からシャルルをジャンヌは見つけ出すのだが、その後ジャンヌは「神の御しるしをお見せします」と言って、2人きりで別室に入って行くのだ。
その部屋で何があったのか?これは最後迄明らかにされていないし、永遠の謎だろう。が考えるに、神の御姿、まばゆい光、はたまた・・・、とにかくこの世のモノではないモノだろう。
しかしそこで考えるのは、もしここでシャルルが何かを見ていれば、神への畏れのために、その後はずーっとジャンヌの言う事を聞かないはずはないと思うのだ。
どうもシャルルは疑わしい。結局のところ彼は何も見なかったのではないか?でも王たる者がそんな事を言えるわけもなく、ただただ口をつぐんだのだ。見ていないからこそ、パリへの進攻もしなかったし、その後捕えられたジャンヌを救おうともしなかったのだろう。
これで疑問は解消したが、もう少しジャンヌについて考えてみる。
あの別室でジャンヌが何かを見たのは、審問会での答弁からしても間違いない。とすると、どういう事になるかというと、あの部屋でジャンヌは何も見ていないシャルルを除いて1人で妄想を見ていたという事になるではないか。
ならば、ジャンヌは最初の村に居るころから、妄想を見ていたと考えることも出来る。
「オレルアンが落ちそうだ」とか「シャルル皇太子が居る」とかは村でも噂されていた。‘ロレーヌの乙女’の噂も、ジャンヌは知らないと答えていたが、あったに違いない。自分は認識してはいないが、それらが意識下に在って妄想を見たのではないか。4年前というのも、自分でそう思い込んだのだろう。その後のことも神に関することはすべて妄想と言える。
妄想を真実と思い込んでしまった田舎娘、しかしそうであっても、国を救いたいという愛国の想いには一片の曇りもなく、彼女が仏を救ったのは歴史が記すように、紛れもない真実なのだ。
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