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[コメント] サイモン・バーチ(1998/カナダ=米)

久々に映画を見てすごく泣けた。
tomomi

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







基本的に身障者を扱う作品は、あまり好きじゃない。 それって、自分の身内にいなくて他人事だからでしょ? って言いたくなるものが多いから。 いわゆる「レナードの朝」みたいな作品は、 ものすごく嫌悪感を覚える。 なのに、絶賛する人が多いから、見て見ると、 やっぱり、見たくなかったな、って思うことが多くて。

だからこの作品も、ずっとビデオ屋で 手に取れなかったけれど、 やっと見て見る気になったら、なんのことない、 もっと早く見ればよかったな、って。

それぞれの役者がみんな好演していて、 ミスキャストを感じることが一切ないこと。

ひねくれ者なのか、「いい作品」的な声を 聞けば聞くほど、 構えて見てしまうせいか、 評価が厳しくなる。 それだけならともかく、知らなかったら泣けたのに、 と思う作品が結構あったように思う。

けれど、そうじゃないんだってことがわかった。 それが、本作を見ての一番の発見というか、嬉しさだ。

「やっぱり身障者モノじゃん」 「こんな成長が停滞してる子が出てたら、 それだけで涙誘うでしょう、ずるいなー」 なんて思いながら見てた。

前半は、思ったより、コメディ的な要素が強く、 驚くほど軽く見れた。 それが功を奏したのか?

それでも「3点映画」だろうと踏んでいた。 そして、きっと私には泣けないだろうと。

実際、作品を見ていて、「なんだかなぁ」と 腑に落ちなかったり、疑問に思うことも結構あった。 結局のところ、「泣かせ映画」なのだな、とも思ったし、 展開もベタすぎるとも思った。 なのに、それはまるで、知らぬ間に恋心が芽生えた時のように、 いつのまにか、心を持っていかれてて、 とても気持ちのいい涙を流すことができた。

完璧じゃないから、5点はあげれないけど、 あと1点足りないところが、本作の良さなのだろうとも思った。

映画を見て原作を読みたいと思うことは多々あるが、 初めて、見終わったその場で、 原作本をネットで注文してしまう、という 衝動に駆られたのは、本作の持つ、魔力なのかもしれない、 とか思ってみたり。

と、散々、肯定的なことを書いたけれど、 もうひとつ、腑に落ちない点があって。

サイモン演じた彼。 「映画」というものを作るにあたって、 そんなことを演じたくないのに、 エンターテイメント性が必要だからって、 少なからず、無理をさせられたことがきっとあると思う。

それは、私の邪推と言えばそこまでなのだろうけれど、 そういう背景を考えたりすると、 すごく引っかかってしまう。

まぁ、それでも、そういうことをひっくるめて、 たとえ商業的に泣かされただけだとしても、 ひとつも、怒りを覚えないわけだから、 ここまで「いい仕事」をしてくれれば、 あざとかろうが、ノープロブレムなわけで、 そういう作品がもっともっと世に生まれてくれることを、 心から望みたいと思う。

だからこれからも、たくさんの映画を見続けようとも。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ガンジー ミッチェル

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