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[コメント] シャイン(1996/豪)

本当は激しいはずの物語。深い青が衝撃を包み込んでいる。
jean

ずいぶんと静かで、穏やかな印象の映画。ほんとうは「アマデウス」のように激しく、攻撃的になってもいいくらいに、苦悩や絶望の度合いが深いのに。それにもかかわらず、こんなに穏やかなのは、デヴィッドの人柄が表れているからかもしれない。それと、青のイメージが激しさを和らげている。

実在の人をモデルにしたとか、実話をもとにした映画っていうのはどうもオリジナリティに欠ける、なんて思っていた自分が恥ずかしい。そう思えるくらい、この映画は独特の魅力にあふれている。デヴィッド・ヘルフゴットがほんとうにあんなふうに、いつもちびたタバコをくわえているのか、せきをきって流れ出した小川のようにとめどなく喋り続けるのか、実際にはどうなのか、それは全くどうでもいい。大事なのは、デヴィッドが映画の中で、一人の個性ある人間として描かれていることだ。デヴィッドがとても自由に生き生きと笑い、泣き、絶望し、また立ち直るので、見る側はつい彼にモデル(本物のヘルフゴット)がいることを忘れそうになる。これは、映画の中のデヴィッドが自由な命を得たあかし。実話の映画化に伴うはずの制約を、窮屈さを全く感じさせないという、これはこの映画のすごいところ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)NAMIhichi[*] 鵜 白 舞[*] KADAGIO[*]

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