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[コメント] 二十日鼠と人間(1992/米)

久し振りに「骨」がしっかりした映画を観た気がした。一度は叶いかけた夢が脆くも崩れ去る瞬間。。。辛い映画だ。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







身寄りのない貧しい労働者2人。 利口で堅実なジョージと怪力で優しいけど、オツムが5〜6才児並みの大男レニー。

何かとトラブルを起こしては稼ぎをフイにして逃げ出すレニーに辟易しながら、それでも彼を捨てて置かれない複雑な感情をジョージは抑えた演技で魅せる。

明日をも知れない不安定な彼らが河原で焚き火をしながら「夢」を語り合うシーンは、かなり泣ける。ちょっと長いけど引用します。

「ジョージ、この前みたいに話してくれよ」 「どんな?」 「ほら、あのウサギの話だよ〜」

・・・・・・・・・・・

「頼むよ、ジョージ、前みたいにさ お願いだ、頼むよ、ジョージ!」 「そんなに楽しみなのか?・・・わかった、話してやろう」

「俺達みたいに牧場で働く連中は世界一孤独なんだ。家族もなく、住む家だってない。希望もなく。。。」

「で、でも俺達は違うんだろ?」

「そう、俺達には未来がある。お互い語り合う友を持っているんだ。他の連中は不幸に遭えばそれで最後さ。」

「でも、おいらには、あんたがついてるし。。。あんたには、おいらだ! そ、それで、ほら、どうなるか話してくれよ!」

「いつか俺達は小さな家と数エーカーの土地を持つんだ。そして牛や豚や鶏を飼う。。。」 「立派に自立してウサギも飼うんだろ? さっ、ジョージ、続けてくれよ!」 「お前の方がよく覚えてる。後はお前が話せ(笑)」

・・・・・・・・・・・

何かにつけて何度も何度も繰り返し語られてきた彼らの「夢物語」。 ジョージはとっくにわかっている。。。 レニーと一緒じゃ、いつまでたっても夢を実現できないことを。 却って、ますます夢から離れた辛い暮らしを強いられていることを。

誰も信用できない流浪の旅の中で唯一気を許せる友は世間から嘲笑されるために生きているかのような知恵遅れの大男レニー。

異常なくらい小さな動物を可愛がる。 幼児のように、何度叱りつけても柔らくてフワフワしたものを掴んで離そうとしないレニー。 その矛先は若くて美しい人間の女性に。。。 ジョージの「危惧」が怖ろしい現実になって襲ってくるまでのたった4日間(木曜の夕方から日曜の夕方まで)の哀しいドラマ。

シンプルそのもののストーリーの末に待つ慟哭のラスト! このラスト・シーンはしばらく脳裏から離れない。。。

(評価:★5)

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