[コメント] 泥棒成金(1955/米)
花、衣装、宝石、花火、華やかな役者、そして鮮やかな風景。スクリーンを埋め尽くす過剰なまでの装飾の裏で展開する、ブラックと皮肉の利いたユーモアの応酬。美しさに毒と棘の仕込みも忘れないのがヒッチコック、です。
**ネタバレ注意**
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確かにサスペンスを観ている気はあまりしないし、「鍵」を始めとした小道具が周りの装飾にかすんでいる印象もあるけど、これはこれでヒッチの特徴の側面が十分に出ていて、個人的には好きです。暴走シーンでのカットバックなども見応えがあり、涼しげな指先のグレースと脂の滲んだケーリーの手と、ある意味役者の個性すら表している気もします。
ケーリー・グラントはいつものニヤけ顔に、さらにカラーならではの浅黒い肌も加わり、もう無敵に胡散臭い色男っぷりです。無謀にもグレースを「中古車」呼ばわりする、怖いもの知らずのフランス娘も可愛い。でもやはり主役はグレース・ケリー。「中古車」発言にも余裕の笑み。「若さ以外に何が敵うのかしら?」と暗に示す様がクールです。ゴールドのドレスを涼しげに着こなす姿も素敵です。しかし水着をご法度にされながらも、花火でいやらしく演出するヒッチは、さらに上手ですが。
(2007/3/6)
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