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[コメント] 間違えられた男(1956/米)

情け容赦ないヒッチ。サスペンスよりは恐怖を。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、it is a true story 宣言から重苦しいトーンで始まる。モノクロが効果的。冤罪成立の淡々とした進行が怖いが、もっとも恐ろしかったのは妻がおかしくなってしまうことだ。責められるのは私、もうこれはメジャーうつ病の診断間違いなしで、そばに住んでいる人間にはたまらない。

最後の救いのない病室での別れもまさにtrue story.冤罪事件は引き金に過ぎず、このローザはうつ病体質なんだ。初めの借金ばかりして、いつまでも片付かない、という独白からこの発病前性格がうかがえる。歯の痛みさえなければ、幸せだよ、と言いくるめられて、あなたに言われるとその通り、と答えるあたり用意周到という感じがする。

なぜこういう救いのない事実そのままを描写する映画をヒッチコックは作ったのか。それが一番の謎だ。主人公が刑務所に留置されて、途方に暮れるところでカメラがグルグル回り、音楽がそれと同期しているシーンはあまりに稚拙。どうしたんだ。ラストの真犯人が登場するところで顔がダブルイメージに重なるが、ここもやり過ぎ。それまでの事実進行が台無しになる。そこが減点でした。

(評価:★4)

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