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[コメント] オープン・ユア・アイズ(1997/仏=スペイン)

HALも、レプリカントも夢をみる。
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







僕は、彼が見せられた夢については、デビッド・フィンチャーの『ゲーム』を思い出した。あっちは、役者さんたちが依頼者の周辺で事件を演じるという、まんまアナログでローテクな「仮想現実体験装置」なわけだが、依頼者に体験情報を与えるという役割は同じだろう。

自分を自分たらしめているのは、他者との関係性においてであり、彼は「顔」を失ったことで「自分」を認識する手がかりの一つを失い、「自分」を形づくってきた総体のバランスを失って自我を崩壊させていったのだと思う。このあたりでは『ジョニーは戦場へ行った』を連想する。果たして自分は今、生きているのか否か?生きるということはどういうことなのか?

彼は、ペネロペちゃんとの愛を取り戻すことでもう一度自我の回復を図ろうとするのだが、もともとプレイボーイの軽薄なキャラの上に、互いの愛情や信頼感の描写が無いので、見てる方も感情移入できない。そのあたりがツライところだが、逆に悪夢への転落はインパクトがあった。

「虚構」から「現実」への帰還は、「虚ろな人間」から「真の人間」への変身願望と置き換えると、『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』にも通ずるように思える。

人の世、夢うつつ、果て無き旅路なり。あー疲れた・・。

(評価:★4)

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