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[コメント] 担え銃(1918/米)

諧謔と機知に富んだアイデアはチャップリンならではもドラマ性の軽薄さがSO-SO
junojuna

ファースト・ナショナル社での2作目、興行的にも批評的にも成功したといわれる本作であるが、確かに当時としては「戦争」というテーマを喜劇として映画で表現することは余程画期的なことであったろうと察しがつく。しかし、チャップリンの喜劇というものは、「悲劇」や「哀愁」と表裏一体であるときにこそ大きな波紋を呼んで感嘆に落ちるという性格のものである。やはりストーリーに琴線を秘めたドラマの濃淡があってこそ、チャップリンの信ずるところの「喜劇」としてのヴォリュームが一層厚みを増すものとなって巧さが光るが、そうしたヒューマニズムが滲むにつれて「笑劇」としての刺激は乏しくなる。決して悪くはないが本作はそういう意味では、ドラマは軽くファルスに薄い中途半端な印象を受ける。しかしながら後期チャップリンのドラマティックな名作群へとつながる過渡期的な習作として意味深い作品ではあり、挑戦意欲が見て取れてなかなかな気風である。特にチャップリンのフィルモグラフィを追う上ではファースト・ナショナル時代の短編集はその始原を探る上でも貴重である。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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