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[コメント] 愛情萬歳(1994/台湾)

孤独は人から喜怒哀楽という感情を奪う。喜怒哀楽は他者との関わりの中で起きる精神の自然な発露であり、必ずそこに肉体が関与しなければ得られないSEXの悦びとは別のものだ。だから人は、孤独に耐えられなくなったとき自らを救うため負の感情を爆発させる。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えば怒りが爆発したとき、それは他者への暴力や自らへの攻撃(自死)となって表れるかもしれない。メイ(ヤン・クイメイ)は、街を見晴らす荒涼とした冬の公園の高台で突如として「哀しみ」という感情を爆発させた。その号泣はあたかも自らが暮らす街、すなわち境遇に向けられた叫びのようだ。止め処なく溢れる涙。その理由は、おそらく彼女にも分からないのだろう。やがて号泣は治まる。そして彼女が見せる虚脱感に満ちた表情。

これはハッピーエンドなのだ。何故なら、まがりなりにも彼女の体は感情を取り戻し、そして孤独から抜け出す糸口を見つけたのかもしれないのだから。

(評価:★4)

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