[コメント] 惑星大戦争 THE WAR IN SPACE(1977/日)
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『スター・ウォーズ』公開と共に、映画界はこぞってSF作品を出すようになった。その便乗企画のような形で日本では東映から『宇宙からのメッセージ』、そして東宝から本作が僅かな撮影期間を経て投入された。本作の撮影にかかった時間は僅かに3ヶ月だそうだ。
本作でどうしても許せない事。何故あの『海底軍艦』の“轟天”の名前を冠した?
同じ名前を冠していながら、このギャップはどうだ。その悲しみの方が先走ってしまった。
確かに巨大艦同士の激突や主人公達の行動を“格好良く”魅せる事は出来ている(まだ若い浅野ゆう子のSMチックな衣装も含めて)。だけど肝心のストーリーがご都合主義の上に薄っぺらすぎるし、所々操線が見える特撮も丁寧さに欠く。轟天や大魔艦のギミックには『スター・ウォーズ』のみならず『宇宙戦艦ヤマト』からのパクリも所々…(『海底軍艦』の轟天号の姿は後の『ヤマト』に取り入れられていたが、それを逆輸入するんじゃない!)
地球上で地球軍が手も足も出せなかったヘルファイターを豪快に薙ぎ倒し、圧倒的な強さを見せる轟天。ローマ船を思わせる大魔艦(劇中で「ローマ艦」と言っていたから敢えてそう書くけど、ローマではあんな派手な船は数えるほどしかない。むしろ「エジプト船」と言うべきだろうに)のギミックの面白は買う。轟天、大魔艦共に重力さえ無視するかのような(?)派手な巨艦同士の激突とか、互いに「奥の手」を隠し持っているのも心をくすぐられる。“爆発職人”中野昭慶の手による派手な爆発も良し。
しかし、『スター・ウォーズ』のご時世に先端にドリルくっつけた宇宙船が宇宙に行くと言うのは何ともはや。地上なら兎も角宇宙戦艦にドリルが必要か?(劇中ではちゃんと意味はあるんだけど、宇宙を壊すほどの爆弾を一番攻撃の受けやすいところに剥き出しで置くというのは狂気の沙汰としか思えない)。轟天船腹のリボルバー式カタパルトは見てくれは良いけど、戦闘機がカタパルトに収納されてないんだから、全く意味を持たない上に、出撃した戦闘機をどうやって収納するのかが謎(一機も還ってこなかったから、そのギミックは明らかにされてないが、ひょっとして乗り捨て?)。航行士が攻撃機に乗ったり戦闘員になったり、あまつさえ人命救助までするほど轟天は人手不足。宇宙戦艦の癖に空気の取り込み口がある大魔艦と言った設定上のアラ。捕虜の前で堂々とコンピュータを操作している総統ヘルのお間抜けさ。アトラクション用の着ぐるみとしか見えないチューバッカを意識したような獣人。宇宙はエーテルに満たされていると言う古くさい設定など、どう考えても馬鹿にしてるとしか思えないようなものばかり。
極めつけはエーテル爆弾の存在。宇宙をさえ破壊してしまう可能性を秘めた爆弾に苦悩する滝川はまるで『ゴジラ』の芹沢博士(と言うより、パクリだろう)みたいだけど、どうせ最後に使って金星を爆破するんだったら、最初から使えば問題なかったんじゃ…
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