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[コメント] 宇宙人東京に現る(1956/日)

OP、番傘のアップから始まる雨の夕暮れの駅、改札で常連が出会って入る居酒屋の提灯は「宇宙軒」、カウンターで新聞広げて「また円盤が出ましたよ」。この純和風SFタッチがとてもいい。これで通してほしかったものだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この居酒屋、「世の中が悪くなると、だんだんヘンなものが出てくんのね」という科白があるが何を指していただろうか(なべ底不況は翌年)。「地球に入れば地球に随え」と変身してテニスで身長以上のジャンプを見せるパイラ星人の苅田とよみはおかしいが、そもそも湖に浮かんでいた彼女と早速テニスする川崎敬三たちもおかしい。山形勲が新型爆弾を研究しているというのは有りがちなことだが、「貴様それでも日本人か」と怒鳴る中国人に絡まれているのは何なのだろう。映画はこのセット内で延々展開され、面白くない。

原水爆の危機、原子力の平和利用、そこに隕石の衝突危機。隕石に原水爆を撃ち込んで使い果たして地球に核は全て廃絶される。核廃絶に向けての美しい話だった。並行して爆弾開発されるウリウム101は脱線した印象。

機関車とか保育園とか水上生活者とか屋根の猫とか見処だが、画的には五角形のパイラ星人に尽きる。妖怪話の百鬼夜行に混じっていても違和感がない。この頃は避難と云えばよく集団疎開をする。空襲からの疎開は本邦の成功体験だったのだろうか。原案の大映社員中島源太郎(父は中島飛行機の創業者)は後に文部大臣になっているが、そんなことで良かったのだろうか。

(評価:★3)

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