[コメント] 摩天楼を夢みて(1992/米)
圧倒的に演技合戦が見物なのだが、元が舞台劇なので、舞台的なケレンが残されている部分があり、ワタクシ的にはちょっと減点。
しかし全体に、映画の画面にすることにとても腐心されていて、そういう意味でもは見応え充分だ。まず、冒頭のジャック・レモンとエド・ハリスが隣り合った公衆電話のブースで電話するシーンから空間造形がちょっと普通ではなく、アイ・キャッチする。前半の夜のシーンはずっと雨が降っており、これが光(照明)の扱いとしては画面を支配することになる。例えば車中の会話シーンなんかでも、雨と、街頭のライトやネオンサインが、ガラスに反射し雰囲気を作る。また、事務所前の通りの奥に、高架が見えており、こゝが映ると必ず電車が通過する。思わず小津の古いサイレント映画を想起してしまうが、恐らく電車待ちして撮ったのであろう(いや、もしかしたら、撮影のために線路を借り切った?)、こういう贅沢さが映画のスペクタキュラーをかたち作る。前半の雨の夜と対照的な、露光オーバー気味の朝の光も忘れ難い。
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