[コメント] ブコバルに手紙は届かない(1994/米=伊=ユーゴスラビア)
最後まで引き裂かれるのを拒否する男。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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私にはクロアチア人の知人が一人いる。彼女と知り合ったのは1996年の夏、この映画が作られたわずか2年後のことだ。
彼女は大学に進んでドイツ語と歴史を専攻したいという夢以外、自分についてあまり多くを語らなかった。もちろん、自分の国についてもだ。
私自身、クロアチアがどんな国であるかについて、満足な知識は持っていなかった。その後1998年のサッカー・ワールドカップにクロアチアが初出場を決めた時、ようやくほんの少しの情報を得ただけで、今でもよく知っているとは言えない。
しかしこの作品を観て、彼女が内戦の歴史を語ろうとしなかった理由が、おぼろげにつかめた気がする。この映画の中で描かれているクロアチア人は(少なくとも一部の男は)卑劣で残忍で、同じ仲間であるはずのクロアチア人女性を蹂躙するような人間である。彼女の国が勝ち取った独立の陰に、いかなる犠牲があったか、そしてこれと似たようなケースがあったかどうか、彼女も多少なりとも知っているはずなのだ。
もちろんこれはセルビア側からの視点に傾いた作品だろうから、もし彼女がこの映画を観ているのなら、クロアチア人である彼女の言い分も一度聞いてみたい。彼女の国の人間が、このような男ばかりではないと信じたい。それは、ラストで妻・アナを信じて彼女の国へ向かった夫・トーマにも似た心境であるはずだ。
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