[コメント] ランダム・ハーツ(1999/米)
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夫を妻を寝取られた者の心情を丁寧に描いた映画って、ありそで無いのよ。逆に寝取った側の「だってしょうがないじゃない」的な開き直り映画は腐るほどあるんだけどね。この映画はいかにも大人の恋愛映画風だし、しっとり美しく描かれてるかも知れないけど、自分、ちっともこの主人公達が羨ましくないって所がミソかと思います。
だって二人ともボロボロだもん。惨めっぽいし、不器用もここまでくればカッコ悪いし、嫉妬心と劣等感と猜疑心とで心ん中ドロドロでしょ。そりゃそうだよなぁ、不倫されたら誰だってイヤだろうけど、これはその中でも最悪のパターンだもんよ。不倫してた側の二人もヒドイことしやがるなって、ズタズタに傷ついてる主人公たち見ると思わせるのだが…
今まで、どっちかというとその不倫してる側を主人公に据えて描いてる映画ばっかりだった気がするんスよね。「どうしよう、私達いけない事をしている、ああ、でもこの気持ちは止まらない」とか言ってウットリしちゃって、お互いの妻や夫は不倫を燃え上がらせるための格好の障害物と化しちゃって、終いにゃ不倫旅行へ行く途中の飛行機で二人一緒に壮絶な事故死。かくして二人の愛は永遠となったのである、終わり! みたいに本来ならなってんじゃないのかなー、と。
でも今までなら惨めな(時に憎たらしい)障害物でしかなかった寝取られモンの心情を、ここまで丁寧に描いているのが意外だったし好感持ちました。正直、観る前は★2ぐらいかと思ってたもんで…。二人が急接近したのも、もうパニック状態で藁にもすがりたい気持ちからなんだろうと思うし、当然そういう関係になったらなったで、相手の中に残る亡き伴侶への気持ちが自分を余計に惨めな気持ちにさせるだろうし、ホント孤独で惨めでツラくてしょうがないっていう、寝取られた側のもがく様がリアルでした。この二人はそれでも絶望に浸りきるままじゃなくて、必死にベストを尽くそうと泥の底から這い上がろうとしてる所も希望がある。
ちなみに『カズンズ/今ひとたび』は同じシチュエーションでもクソです。
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