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[コメント] 季節の中で(1999/米=ベトナム)

素晴らしい映像美と、役者達の自然体そのものの演技。ラストの火炎樹のシーンは、「ポンヌフの恋人」の花火のシーンにも匹敵する。痺れました。
ガモン

人間はたくさんの出会いや別れの積み重ねで生きている。通り過ぎていくだけの出会いなんて数え切れないけど、誰もが過去・現在・未来を持ち、そして何かを捜し求めている。まさに等身大の人間の姿。都会の街角でそれぞれの人生が交差し、その季節の中でひたむきに、そして誠実に生きる人々。

彼らの人生を見守りつづける蓮の花。蓮の花は泥の中に根を張りながらも、泥に染まることなく美しい花を咲かせる。そんな蓮の花は、お金が人の価値を決めてしまうような時代に、絶対的な価値観の消滅、アイデンティティの崩壊を強く問い掛ける。

「自分らしく生きる」、それが現代人の抱えるテーマであり、この映画のテーマでもある。ベトナムやアメリカという国も過去を背負って生きていると考えると、私の心は自然と前向きになっていく。

登場人物の一人一人が「それでいいんだ」と肩をたたく。みんな生きるために精一杯で、誰もが痛みを抱えながら。当たり前すぎて、考えもしない事。生きるということをリアルに感じ、自身の内面に喜びは存在していると強く思った。

少し感傷的なレビューになってしまいましたが、満足しています。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)立秋[*]

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