[コメント] ラスベガスをやっつけろ(1998/米)
ジャンキー二人の珍道中が意味するものは、熱狂が去った後の遣り切れなさ。
幻覚、妄想、フラッシュバックの映像が面白い。でも、ドラッグでトリップしている状態をサイケに表現することだけがこの映画のテーマじゃないと思う。
この映画の時代設定は、ドラッグで人間革命を起こせると信じたヒッピームーブメント花盛りの60年代後半から数年後。数年を経ただけで、もうここには胸を熱くするあの熱狂の影も形もないのだ。ただ終わりのない無意味なトリップに身を任せるだけ。話自体はどうでもいい。どんなにサイケデリカルな映像に凝ろうとも、甘い夢も幻想も壊れた後の、どこか空虚な、醒めた感覚に貫ぬかれている。無邪気に信じられた時は過ぎ、人々は気付いてしまった。何も変わらないのだと。
ティモシー・リアリーとか人類学者のミードとか、当時の若者に影響を与えたものや人物名が出てくるのも象徴的。 ジョニー・デップはまったく別人みたい。スゴイ。
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