[コメント] 殺人課(1991/米)
地味。加えて苦い結末。だが何かが残る。
刑事として、ユダヤ人としてのアイデンティティを追求した先は苦い結末・・。
監督は「スパニッシュ・プリズナー」の人。今回もサスペンス仕立てだが、ジョー・マンテーニャ演ずる刑事の、事件捜査に絡めた「自分探しの旅」になっている。派手な演出はなく、ひたすら淡々とストーリーを追うが、署の人間模様やちょっとしたセリフまわし、しぐさなどディテールが細かく描写されていて惹きつけられます。
そして映像が良い。色合いが深くてきれい。ごくオーソドックスな動きなのだが、会話とアクションのメリハリが効いている。カメラは、コーエン兄弟や「ショーシャンク・・」を担当した人。さすがです。
役者も渋い。ジョー・マンテーニャは、前の年に「ゴッド・ファーザーパート3」でイタリア人の色男だったのに今回はユダヤ人。どっから見てもタレ目なイタリアンマフィアが刷り込まれたはずなのに、だんだんとユダヤ人に納得させられてしまう。内面の葛藤をにじませる抑えた演技が良いです。
他にも、珍しくまともなキャラのウィリアム・H・メイシーや、ちょこっとしか出ないけどさすがのヴィング・ライムスなど、皆それぞれに印象的なセリフまわしを見せる。たぶん脚本が良いのだろう。
ストーリーは、救いのない結末で終わり、苦い感触だけが残る。エンターテインメントとしてのケレン味もないので人によっては退屈な映画かもしれないが、個人的には「しぶかっこよい」と唸ってしまう作品でした。
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