[コメント] アナとオットー ANA+OTTO(1998/スペイン)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
スペイン映画というとどうしてもペネロペ・クルスの印象が濃いですね。
そして女性の映画。
女性が主人公の映画が多い。
最近だとウディ・アレンが『それでも恋するバルセロナ』という映画を撮っています。
女性が生き生きしていて魅力的な映画。それがスペイン映画。
そしてこの映画も意志が強い美しい女性が主人公なんですね。
それにしてもこの映画の監督の美的センスというか映像表現に見事さにはほれぼれしますね。
少年のオットーが裸で外に出て股間に手を当てて大きな木を見上げますね。そしてそこに吹く風。彼の心理を見事に表現しています。
冒頭のシーンも意味深いですね。最後の最後にアナの瞳がアップになっている理由が示されます。
音楽もいい。
美しい映画ですね。
映画は表現です。
ドラマを追うだけでは映画ではありません。そこに息づく映像、音楽、空気、あらゆるものが観る者に伝わるものこそ映画ですね。
この映画には優しさと美しさ、愛情がすべて凝縮されています。
幼いころに孤独の中で出会った少年と少女の二人。
そして青年期に結ばれる二人。
さらに大人になって、離れ離れになりながらすれ違いの日々を送る二人。
そして最後に出会ったとき、アナはすでにバスにひかれて死の世界をさまよいますね。その瞳に映るオットー。
アナの幻想では、飛行機乗りのおじいさんの家でオットーと再会することになっていた。
しかし、その直前に事故にあってしまう。
その衝撃的な悲しみ。
アナが湖でずっとずっとオットーの来る予感を抱きながら待ちわびる白夜。
沈まない太陽をずっとながめて待つアナの健気さ。
水面にオットーが操縦する飛行機が映りますね。これも見事な表現です。
まぁ、あまりの優しさに感動してしまいました。
素晴らしい映画でした。
2011/06/06 自宅
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