[コメント] カイロの紫のバラ(1985/米)
無垢なジェフ・ダニエルズが娼館で子供を授かるといいねと語り、娼婦たちが涙ぐむ件がいい。映画とはどんな事情の人にも分け隔てなく希望を与えるものだ、と語っているのだと取りたい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「子供の誕生は感動よ」と突然アツく語る娼館の元締め婆さんが好きだ。
ジェフのイノセントこそ映画そのものだと云う静かな主張が本作の肝だと思う。休業中の遊園地での仮住まいというのも巧み。教会での殴り合いは説教臭くなったことへの照れ隠しだろう。
ジェフの本人が登場して分身の主題が入り混じったのは私は余計だったと思う。映画対現実(亭主)だけでもっと掘り下げてほしかった。待ちぼうけの共演者たちのグダグダは愉しい(演劇にアダプトしても面白そうだ)。
ラスト、ミア・ファローは映画による現実逃避を再開した、と小さく解したのでは全然面白くない。だって彼女の映画批評眼は驚異的なハイレベルに達しているはずだもの。スクリーンの中にまで入ったのだから。ジンジャー=フレッドのダンスから彼女が何を受け取り、何を微笑むのか、それは我々には想像もつかないほど大きなものに違いない。
ただひとつ明らかなのは、彼女はダニー・アイエロのグウタラ亭主との腐れ縁を続けるだろうし、その関係は改善されていくだろうという希望を作品が訴えていることだ。その糧を彼女は映画から受け取り、そして子供を授かるだろう。
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