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[コメント] 野獣死すべし(1959/日)

「アプレゲール」にあった批難のニュアンスは「太陽族」「ハードボイルド」に転じてシニカルに肯定されるようになった。白坂のシニカルも時代の需要だっただろう。本作は真面目な小泉博で相対化しているのがまだ端境期の印象(含優作版のネタバレ)。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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仲代達矢に札でイジメられて「星は何でも知っている」唄って踊らされる花売りの三好栄子。ここが最高にシニカルだ(本作は三好の映画遺作。病気引退)。「センチメンタルで金儲けをする奴は大嫌いだ」と語る仲代。彼の「左翼活動もキリスト教も彼の心の傷を癒してはくれませんでした」なる来歴、強いものが生き残るというラスコリーニコフ系列の思想、人間など資本主義の歯車だというシニカル。

アプレという表現ならこれらは批判されるが、ハードボイルドと云ったときは批判ではない。資本主義社会で生き残り、あわよくば大金持ちになって遊んで暮らすための処方として、ラスコリーニコフを「強かに」内面化するよう映画は勧めている。この心情は60年代以降を大いに規定しただろう。アプレそのものだと思うのだが。

仲代は優作より匿名的な造形。飛行機の最後が共通しているがこちらは余裕の逃走中。結核はすでに治る病気だった。仲代は手術ができない貧乏学生の手塚(武内亨)に、結核なら治るでしょう(金があれば)と会話している。彼の大学経理課侵入は覆面もせず、最初から当人含む全員殺害の予定に違いなく、これに騙された手塚はもう理性がなかったのだろう。

冒頭の殺される刑事の瀬良明、彼の自慢していた電動ロボットが動き出す冒頭が印象的で、会社の歯車というマスムラの主題が先取されている。安保デモを眺めて事務室「あれも就職活動なんですよ」みたいなシニカルも白坂らしい。

(評価:★3)

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